健口は健康のはじまり

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●全身疾患・コロナウィルスと歯周病の関わり
 
 歯科疾患の中で、最もポピュラーな二代疾患 虫歯と歯周病。
 歯を失えば食べる事に支障をきたす。
これは、おそらくどんな方でも容易に想像が出来る事かと思います。

皆さんはその他 虫歯や歯周病は全身の病気を引き起こしたり、悪化させたりする事があるのをご存知でしょうか?

 実は虫歯も歯周病も細菌が原因で起こる病気です。
これまで細菌は悪と考えられて来ましたが、21世紀に入り、私達は細菌と共生関係にある事、 普段は病気を起こさない常在菌叢(マイクロビオーム)が悪質化(マイクロバイアルシフト)し、細菌との共生関係が破綻する事により様々な病気が発症する事がわかってきました。
 口腔清掃不良や免疫力の低下などにより歯周組織と細菌叢の拮抗が崩れ、共生関係が破綻した時、歯周病は発症します。

 歯周病により歯周ポケット内に傷口(潰瘍)が出来ると、それはおおよそ 手のひらと同じ範囲に炎症を起こしている事になると言われていますが、かなり進行するまで自覚症状はありません。
歯肉には毛細血管が張り巡らされていますので、歯周病を治療せずにいると、炎症を起こした歯肉から歯周病菌の血管内への侵入が容易におこります。
血流に乗った歯周病細菌は全身の組織・臓器に運ばれ、死骸からはLPS(エンドトキシンともいう)と言う内毒素を撒き散らしあちこちで炎症を起こすのです。

 全身の病気と歯周病をつなぎ、体に問題を起こすのは
     この 慢性炎症 と 菌血症 です。
これは齲蝕(虫歯)による歯髄の炎症や根尖病変(歯根周囲の病気)などの慢性歯性感染症によっても起こります。

 歯周病と関連がある代表的な全身疾患としては, 糖尿病,誤嚥性肺炎,早産・低体重児出産,骨粗鬆症、心血管系疾患、脳血管障害、腎炎、関節リュウマチなどがあげられます。
歯周病との関わりの研究が最も進んでいる糖尿病において歯周病は第6の合併症と言われ、糖尿病の患者さんは歯周病にかかりやすく、また歯周病を治療すると血糖値の改善につながる事がわかっています。
痛みもなく、慢性的に進行する歯周病ですが、気が付かないうちに体に悪影響を及ぼす為、サイレントキラーとも呼ばれています。

 現在 大変問題となっている新型コロナウィルス感染症ですが、歯周病菌の放出する内毒素(LPS)が体内に多い程これが原因となり 免疫細胞から放出されるタンパク質(サイトカイン)が多量に放出され、免疫暴走(サイトカインストーム)を起こし重症化しやすい事が強く示唆されています。

 健康な口は健康の入り口。

口腔の健康を保つ事の重要性をご理解いただけましたでしょうか。